いつやむとも知れない酸性雨の幕と神経を苛立たせるために作られたとしか思えないネオンの点滅のなかで俺が探し続けているのはバイブレーター。俺はこの街で「豚」と呼ばれている。由来は知らない。俺を初めて豚と呼んだ重度のジャンキー兼ロリコン兼ハッカーは、豚の由来を俺に教えず胸に抱えたまま魚のエサになった。 「あんたは痩せていて『いかにもな日本人』だけどさ。豚なんだよ。でっぷり肥えた豚」 奴の一ドルの価値もない、そして、最期の言葉だ。顔を合わせるたびに、子供の頃のアイドル、カービー・パケットを記憶の底から引きずり出してきやがる、ずんぐりむっくりした身体を持つファッキン・ジャンキーは眼球をくり抜かれ、手足の全ての指を先端で割かれ、尿道からワサビを塗った針金を刺された挙句に四十フィートコンテナに潰され、マクドナルドハンバーガーよりも薄くなったところを、トンカツの背後にそびえ立つキャベツのようにスライスされ