孤独に関するmurasaki_kairoのブックマーク (2)

  • 短編小説「博物館にて」|ムラサキ

    「博物館にて」村崎懐炉 博物館に行ってブラキオサウルスの骨格標を見上げていると、その年老いたブラキオサウルスは物静かに語るのであった。 昔は良かった。 こんなに狭々としていなかったし。 自由闊達としていたものだよ。 かつて彼にも同族の友人がいた。 彼らは午後の安らいだ時間を散歩や読書に充てて楽しんだ。時に詩論を討議し、熱を帯びて熱い紅茶の入ったソーサーを揺らした。 ブラキオサウルスたちはのんびりとしているので彼が友人と思っていた個体は彼より10歳も年上であったということ。 そして10歳年上であるということは少なくとも彼より10年は早く死期が訪れるだろうことに彼が気づいたのは、友人が死に瀕したその日である。 彼は友人のために樹木の枝葉を口元に運んだ。 友人は静かに笑っていた。 苦しくないか。 そう尋ねた。 苦しくはない。 友人はそう答えた。 何かして欲しいことはないか。 そう聞くと 友人

    短編小説「博物館にて」|ムラサキ
    murasaki_kairo
    murasaki_kairo 2017/12/15
    薄暗い博物館にてライティングされた古代生物の骨格標本に僕はわくわくとした興奮を禁じ得ない。
  • 現代詩「孤島」|ムラサキ

    「孤島」 村崎懐炉 孤島の岬に立って海を見つむる そんな時間が必要だ 岬で好きな詩を諳んじる そんな時間が必要だ そこにいるのは 私であって もはや私でないかもしれぬ 一匹の獣が人間のふりをして 読めもしないポエジーを 鳴いているだけやもしれぬ そういった拙さを打ち消して 波は静かに満ちていく 孤島の岬は そんなところだ 私の語る数々の 告白をしらんぷりして 聞き流す もしか空飛ぶ海鳥が 其れを聞いているかもしれぬ その海鳥が 海を渡って 子々孫々に 私の嗚咽を伝えるやもしれぬ もしか子々孫々が かくのごとき戯言を 聞きたくあれば 波の音を聞くが良い 静かな波は私の 静かな声をなぞらえる 荒ぶる波は私の 荒ぶる声をなぞらえる 日々の単調な繰り返しを 波は果てなくなぞらえる 今私はこうやって うそぶきながら 耳を澄まし 波に溶けたちちははの 数々の声を聞いているのだ 言の葉は 波間に落ちて魚

    現代詩「孤島」|ムラサキ
    murasaki_kairo
    murasaki_kairo 2017/12/10
    独りになりたいときがあります
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