「情報の常識は,すべて変わった!」と帯にあるように,これからの情報伝達の方法が,これまでとはまったく異なるものになるということを述べた本。巷に溢れる批評本のように過去の出来事をあーでもないこーでもないと論じるのは意外と簡単なことだが,まだ誰も見ぬ未来の世界を,過去の歴史を参照にながら的確に予測するというのは,非常に難しい作業である。しかし,著者の佐々木俊尚氏は,それに果敢に挑戦している。まず,そのような著者の姿勢に私はとても魅力を感じるし,刺激を受けている。また,内容的には,まだ定義すらない世界のことであるため,著者自らが概念を定義し,それを説明している。そのため,やや説明がわかりにくい所もあるが,それはある意味仕方のないことである。しかし,著者が言わんとしていることは,十分伝わる。 本書の内容を要約すると次のようになる。これまでのマスメディアが情報を独占していた一方向の情報伝達手段は,イ