きょう16日は、京都五山の送り火である。日本を代表するお盆の行事だが、今年は悲しいものになってしまいそうだ。 東日本大震災の津波でなぎ倒された岩手県陸前高田市の国の名勝「高田松原」の松で作った薪(まき)を燃やす計画が二転、三転したあげく中止となったためである。 薪から放射性セシウムが検出されたのは事実だが、行事を取り仕切る保存会や京都市関係者には予定通り実行してもらいたかった。失望を禁じざるをえない。 五山送り火の来歴には、諸説がある。平安時代に弘法大師空海が「大」の字を書いた、室町将軍の足利義政が息子の死を弔うために始めた…などである。長い歴史を経て、現在では「お盆の精霊(しょうりょう)送り」行事として、全国から多くの観光客を集めている。 震災で犠牲になった人々の霊を慰めたいという当初の意図は、関係者の間ですぐに受け入れられた。しかし、一部からは「燃やせば東京電力福島第1原発から放出され