「とんだ計算違いでした」 東京に本社を置く中堅の映像制作会社に30年勤めるAさんは打ち明けます。Aさんは来年秋に60歳の定年退職を迎えます。会社が用意している嘱託再雇用の道は選ばず、妻と2人で富士山の見える山梨県に移り住んで、スローライフを満喫する計画を立てていました。 大学時代の1年先輩で東京の大手家電メーカーに勤めていたYさんが昨年の定年退職で得た約2500万円の退職金を元手に家を買ったことを聞いていたAさんは、「ウチの会社でも1000万円ぐらいは出るんだろう」とアテにしていました。 ところが、そのもくろみは大きく崩れてしまうことになりました。来年の退職を前にして、会社の人事担当者から「退職金はありません」と告げられたからです。 「えっ!そんなバカな。昨年、当社を定年退職したTさんは勤続20年だったのに、数百万円支給されたと聞いていますよ」(Aさん) 「Tさんに支払ったのは退職功労金で