OPINION 安倍首相の外交スピーチがすばらしい--慰安婦だけが外交ではない 誠実な人柄が発言に現れる 安倍首相の一連の外交スピーチがすばらしい。美しい言葉を適切に使い、論理的で、構成も印象に残る工夫をしている。そして古典と名言の引用や論点の示し方で知性が感じられ、品位のある形で、スピーチの場に合わせて日本の外交姿勢を適切にアピールしている。 私は物書きの端くれで文章修行中だが、自らの力量の足りなさを自覚するゆえに、質の高い文章には敏感に反応してしまう。外交のスピーチライターの力量が、過去の首相のそれと比べて明らかに高い。書き手は複数であろうが、メインライターは外務省出向の首相秘書官であろうか。日本の役人の文章はつまらないものが多いが、特異な質の高さだ。 アジア知識人の心の琴線に触れる仕掛け 以下は「アジアの未来」という今年5月のシンポジウムでの晩餐会のスピーチだ。次のような話の構