力士から転身したプロレス界で1980年代、“悪役レスラー”としてリングで大暴れしたキラー・カーン。195センチと日本人離れした体格と、形容詞ともいえる「モンゴリアン・チョップ」の必殺技で、国際的な成功を収めた数少ない日本人レスラーの1人である。その懐かしき「スター」はこの3月で68歳を迎える。背中には手術の傷跡がくっきりと残り、今も満身創痍の体には違いないが、新宿副都心で「伝説のシンガー」尾崎豊が愛した名物カレーを提供する人気居酒屋を切り盛りする。引退から四半世紀。気が付けばプロレスラーとしての足跡よりも経営者としての歩みの方が長くなった。引退後、プロレスと距離を置くカーンに「第2の人生」で成功する極意を聞いた。 ■気配りの“看板レスラー” 東京・西新宿。JR新宿駅から大久保方面に10分ほど歩いたところに大衆居酒屋「カンちゃん」がある。「ちゃんこ鍋」が評判で、深夜まで近隣のサラリーマン