3月28日、関西電力高浜原子力発電所3、4号機の運転を差し止めた大津地裁の仮処分決定を大阪高裁が取り消した。初めて司法が原発を止めた事案の抗告審とあって注目を集めたが、関電の全面勝利に終わった。再稼働後直ぐに停止していた2基について、再々稼働に向けた手続きが始まる。全国で30件以上が係争中の原発裁判は、高裁判決が2件続けて再稼働容認の姿勢を示したことで大きな潮目の変化を迎えている。 大阪高裁決定を受けて会見に臨んだ関西電力の岩根茂樹社長は、経営への好影響を「非常に大きい」と表現。公約してきた「再稼働後の値下げ」も着実に実行する姿勢を示した。同社の株価は経営改善への期待で急伸。3月28日の終値と比べ29日の始値は7%上昇した。 当初、記者はこうした動きを期待が先行し過ぎているとみていた。というのも、以前このコラムで指摘した通り、脱原発弁護団全国連絡会が仮処分の申し立てを立て続けに行う戦略を立