井出明(いで・あきら)/1968年、長野県生まれ。金沢大学国際基幹教育院准教授。社会情報学の手法を用いて、新しい時代の観光研究を行う。著書に『ダークツーリズム悲しみの記憶を巡る旅』『ダークツーリズム拡張 近代の再構築』。この記事の写真をすべて見る 「世界遺産」という言葉は誰もが知っており、一度は行ってみたいという夢を抱く人も多いだろう。しかし、観光パンフレットに載るような美しく、楽しい場所ばかりが世界遺産に選ばれているわけではない。 「1978年の初回登録には、奴隷売買の場所だった西アフリカのゴレ島が入っています。アウシュビッツ強制収容所も広島の原爆ドームも世界遺産です。世界遺産には人類史の悲劇に関する遺構が含まれているのです」と話すのは、『悲劇の世界遺産 ダークツーリズムから見た世界』(文春新書 1210円・税込み)を刊行した井出明さん。 世界遺産を考える際に重要なのが、「ダークツーリズ