悪魔祓いについて評者が初めて知ったのは、1973年の映画「エクソシスト」。観たのは米中西部の映画館だった。 途中、観客が相次いで退出したのをよく憶えている。座席で吐いたり、ショックで学校を休んだりといった話も。たしかに怖い映画だけれど、なんでそこまで? と、米国人の恐がり方に首を傾げたものだ。 あれから35年。悪魔祓いは現在、世界各地で要望が殺到しているのだという。悪魔の存在を認めるローマ・カトリック教会は目下、ヴァチカンをあげてエクソシストを養成中だが、それでも需要に供給が追いつかぬ状態らしい。 ヨーロッパで、中南米で。なぜ、この現代社会に生きる人々が悪魔に苦しみ、教会に救いを求めにくるのか? 本書は、悪魔祓いにかんする、日本初の学術的入門書ということだ。 若い頃フランスの神学校で学んだ比較宗教史家だが、特定の宗教に帰依してはいないという著者は、護教的な立場からではなく、「悪魔憑きという
![苦しむことに意味が欲しい〜『悪魔という救い』<br>菊地章太著(評:島村麻里):NBonline(日経ビジネス オンライン)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/05f492a9ba706b05ca8fd61b1840b099fb59fdc9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fbusiness.nikkeibp.co.jp%2Fimages%2Fn%2Fnbo%2F2011%2Fcommon%2Fnbologo_ogimage.png)