現在、覇権国家として、世界で支配的な権力を握っているのは米国である。将来、多くの人がそう予想するように、中国が、米国に代わって覇権国家となるのだろうか。かつて有力な候補だった日本が覇権国家となることはもはや不可能か。過去の覇権国家の盛衰から、覇権国家の法則を導き出し、それに基づいて、これらの問題を考えてみたい。 1. 覇権国家の条件は何かここで、私は、覇権国家(hegemony)という言葉をウォーラーステイン(Immanuel Wallerstein)が使った意味で使っている。ウォーラーステインは、中核(core)と周縁(periphery)によって差異化された世界システムにおいて、単独で世界システムの経済と政治を支配する最強の中核を、特に覇権国家(hegemony)と呼んだ。第二次世界大戦以降の覇権国家は、言うまでもなく、米国である。では、米国の覇権は、今後も続くだろうか。 1.1. 中