前回は、「ゲームと実存」というテーマで、今日においてゲームをすることの意味を、実存という側面から問題にしていった。僕がゲームを問題にしたのは、そこでの実存の問題を場所の問題と結びつけたかったからである。僕は、以前から、小さなものに興味を持っているが、その小さなものを場所という観点から取り上げてみようというのが現在行なっている試みである。小さなものとは、つまるところ、無意味なものである。『無能の人』の石のように市場価値のほとんどないものである。それは趣味と呼んでいいかも知れないが、しかし、それは嗜癖に近い趣味、場合によってはフェティッシュになるような趣味である。 場所についてのこだわりということについて少し考えてみることにしよう。つまり、なぜ、この場所でなくてはならないのか、という問題である。こうした問いは、しばしば、地上げや再開発に抵抗する住民に対して投げ出される問いだと言えるが、果たして