【モスクワ=小野田雄一】ロシアで新型コロナウイルス問題が過去最悪の事態となっている。政府発表によると、16日の1日当たり新規感染者数は3万3208人、死者数は1002人だった。新規感染者が3万人を超すのは14日から3日連続。死者が1千人を突破したのは初めてで、ともに過去最多を記録した。 ワクチン接種の遅れや感染対策の不徹底、感染力の強いデルタ株の拡散が背景にあるとみられる。さらなる流行が懸念される冬の到来を前に、プーチン政権は危機感を募らせている。 ロシアでは昨年12月下旬に、当時で過去最多の1日当たり2万9935人の新規感染者を記録。その後は減少に転じ、今年3月には同1万人未満に状況が改善した。ただ、6月ごろから再び増加に転じていた。 ロシアは世界に先駆けて今年1月にワクチン一般接種を開始したが、現在まで国民の接種率は約34%にとどまる。大規模治験を後回しにして承認した「スプートニクV」