2020年12月29日、冬日和の大久保公園(東京都新宿区)には八つのテントが並んでいた。日本労働弁護団らが開いた「年越し支援・コロナ被害相談村」だ。コロナ禍で解雇や雇い止めにあった人たちの相談を受けつけていた。 相談者の一人、東京・杉並区に住む草木聡太さん(仮名、38)は解雇の瞬間をこう振り返った。 「昨年4月29日、いきなり社長に呼び出され、『6月以降の契約はない』と告げられました。これから1カ月は出社せずに仕事を探してもよいから、とも。どうしようかと思いましたが、激務でクタクタだったので、『わかりました』と返しました」 草木さんが正社員として勤務していたのは社員十数人の都内の無線機器メーカー。昨年3月下旬の時点では、会社は東京都の要請に従い、できるだけ在宅勤務をするよう指示していた。システムエンジニア職の草木さんも、在宅への切り替えをイメージしていた。 「会社では無線機器のシステム設計