ところが、この「脳の糖尿病ラット」に、「デテミル」というインスリン製剤(糖尿病患者にインスリンを補給する薬剤)を1回だけ注射したところ、翌日からひどい迂回に改善がみられ、3日目にはほぼ正常になり、5日目以降は正常なラットとまったく同じ成績を収めたのである。 また、実験後に「脳の糖尿病ラット」の脳を、海馬を中心に調べたところ、アミロイドβタンパクが正常なラットより1.5倍多く蓄積していた。インスリン分解酵素は逆に減少していた。ところが「デテミル」注射後の「脳の糖尿病ラット」では、アミロイドβタンパクの蓄積は正常なラットよりむしろ低く、インスリン分解酵素も正常なラット並みに回復していたのだ! この実験結果は、まさにアルツハイマー病とは「脳が糖尿病になった状態」であることを立証するものであると、鬼頭氏、新郷氏は考えている。 では、私たちの脳はどのようなときに「糖尿病の状態」になるのだろうか。近年