〈1.常に己の進路を求めて止まざるは水なり 〈1.障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水なり 〈1.自ら潔うして他の汚れを洗い清濁併せ容るるの量あるは水なり 〈1.洋々として大洋を充し発しては蒸気となり雲となり雨となり雪と変じ霞と化し凝っては玲瓏たる鏡となり而も基性を失はざるは水なり〉 「水五則」とも言うらしい。俗流人生訓である。 これがその本文なのであれば、これは黒田官兵衛どころではない。江戸のものでも明治のものでもない。昭和、それも戦後のものである。 「障害に【あい:傍点】」「汚れを【洗い:傍点】」と戦後かなづかいが二か所ある。「【失は:傍点】ざるは」と正かなづかいが一か所ある。ゴチャマゼである。この本文によるかぎり、筆者は戦後の人で、ただし新かな育ちではなく、時に正かなもまじる世代の人である。 なお、言うまでもないことだが、王陽明という説があるそうだからつけくわえてお