-その仮説をいかに証明するか?- 浦島充佳(東京慈恵会医科大学 薬物治療学研究室) 〔第13回〕高木兼寛「脚気病栄養説」(13) (2448号よりつづく) コスト・エフェクティブネス 先に触れた通り,兼寛は「脚気を予防するために食費がかさんだが,患者が減り医療費を削減できた分,全体のコストは安くあがった」と実際の数値をもって論文に報告しています。日本では医師も患者も医療費は国が払ってくれるという意識が強いため,医療費を節約する意識が欧米と比較して弱いように思います。明治の当時,列強国による植民地化政策が進む中,限られた医療費を効率的に運用することは,日本の国運を左右する重大事でした。ですから,海軍の食費が倍になることも重大事だったわけです。 医療費が高騰した現代,限られた財源を有効に利用することは重要な問題となってきています。臨床統計学はこのようなコスト・エフェクティブネス・アナリシスにも