中国人訪日客の層は富裕層から中流層まで広がっていると言われるが、未だそれには及ばない、筆者の言葉を借りれば「プチブル層の下」の第二代農民工のルポ。日本や日本製品に対しては、憧れと自分には所詮手が届かないという怒りや諦めがないまぜになった感情、というところか。 筆者は「この第二代農民工階層の若者たちの抱える孤独と明日の見えなさから来る絶望感」「中国といういびつな社会構造のなかで生み出された絶望構造」と書いており、これが書名の由来だろう。しかし同時に、「虐げられ抑圧された社会の低層にいながらも、夢や希望を持ち、それをかなえる先駆者が現れ、それに憧れ自らも変えていこうという意識の高い農民工」の登場にも触れている。 中国経済の減速や、人件費の高騰による外資の中国外へのシフトは最近頻繁報じられている。そのことが農民工ひいては中国社会にどんな影響があるのか、まだわからない。しかし少なくとも、この本に登