2013年の年明け。日本中の学校がまだ冬休みでひっそりする中、福島県いわき市の市民施設の一室に、6人の中学生が集まってきた。 コの字に並んだ長テーブルに置かれているのは、生徒1人1人に無料で配られたノートパソコン。プロジェクター画面を前に、男性講師がインターネットへの接続手順やSNS(交流サイト)「Facebook」の登録方法などを解説し始めると、誰もが熱心に聞き入った。 生徒たちは、いわき市内にある中央台北中学校と、福島第1原子力発電所に近い双葉郡の楢葉中学校から来た1~2年生だ。東日本大震災で大きな被害を受けたこれらの地域には、現在も県外への避難や仮設住宅での生活を強いられている人も多い。生徒のうち、自宅にパソコンがあるなど、ネットを利用できる環境があるのはごく一部。大半が、電子メールやSNSにも馴染みがなかった。
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