前回は小笠原子爵家と血縁関係にあった若尾家の凋落をみてきました。 そこで今回は、牧四郎の死とその妻・富喜の小笠原子爵家を守る戦いをみてみましょう。 小笠原子爵家への影響 若尾逸平と幾造の兄弟が一代で築き上げた途方もない資産も、反動恐慌、震災恐慌、昭和恐慌と続いた危機に、「若尾財閥」は崩壊しました。 いっぽう、この若尾家と親族関係を結んだ小笠原子爵家へと目を転じてみると、もろにその影響を受けているのがわかります。 長育・勁一の時代には、大きな支援があったために政治や華族社会で活躍できましたが、これを継いだ牧四郎は目立った活動は行いませんでした。 それどころか、関東大震災後は横浜若尾家の邸宅に同居していることからみて、もはや独立した邸宅を構える経費も出せなかったのでしょう。