学術研究の世界では、近年「感謝」の重要性が指摘されるようになっています。感謝には多くの効果があることが分かっており、その効果は偶然現れるものではなく、再現しやすいという長所もあります。組織で働くうえでも、またダイバーシティ推進などの職場開発でも重要である可能性が、組織サーベイや介入実験、客観的な行動データの分析で示されています。そこで今回は、ビジネスリサーチラボ 代表取締役の伊達洋駆氏とテクニカルフェローの正木郁太郎氏が感謝をめぐる最新の研究知見について解説します。 「職場における感謝の科学」 伊達洋駆氏(以下、伊達):本日は「職場における感謝の科学」と題して、1時間でお話しできればと思います。まずはイントロダクションとして、私から自己紹介と本日の趣旨を含めてお話しいたします。 最初に自己紹介ですが、あらためまして、ビジネスリサーチラボの代表を務める伊達と申します。もともと神戸大学大学院経