もう一丁、ウィルバーだが・・ 私の彼に対する評価は、 認識論 ◎ 存在論 ○ 発達論 × である。認識論がいちばんの貢献である。 ホラーキー(ホロン階層構造)という世界観も、まずまず。 ただ、いただけないのは意識発達論。特に『アートマン・プロジェクト』はダメ。 これは、エーリッヒ・ノイマンの『意識の起源史』の影響を受けすぎだろう。ノイマンはユング派の学者だが、こういう発達史のパラダイムはかなり古い。 ウィルバーのいう、プレパーソナル-パーソナル-トランスパーソナル、という発達段階論は、単に理論上だけでつじつまを合わせたものにすぎず、意識という現象の実態を反映していない。 プレパーソナルという意識段階など、実在していない。そのような段階はないということ。実は、トランスパーソナル的領域にある個的意識の根源(唯識では阿頼耶識と呼ぶが)が、物質界という共同主観領域に適合した知覚・意識システムを形成