「邪馬台国九州説」の佐賀女子短大、高島忠平学長(69)が29日、佐賀市のアバンセで講演し、勢いづく「近畿説」を時代・習俗に合わないと一蹴(いっしゅう)した上で、「卑弥呼という存在は北部九州でしか成立しえない」と持論を展開した。 「邪馬台国論争最前線」をテーマに講演した高島学長は「(邪馬台国の)所在地を巡る論争は当時の国家の成立過程を検証する意義がある」とし、九州説、近畿説が持つ国家成立史観をそれぞれ紹介。近畿説は邪馬台国を大和朝廷の前身、九州説は数ある有力国の一つが邪馬台国ととらえていると述べた。 その上で、「当時の鉄器や文物などの資料が豊富に出土される九州説の方が自然」などとし、逆に資料が貧弱な近畿説や九州から近畿に移ったとする「東遷説」は中央史観から逆算された説と批判した。さらに九州説の論拠として、重要資料と位置づける「魏志倭人伝」に、環濠集落の記述があることなど5つの材料を上げた。