「着の身着のままで家を飛び出した人がほとんどなので、少しでも手元にお金が欲しいという声が届いている」――宮城県の村井嘉浩知事は3日、NHKの討論番組でこう訴えた。3月11日の地震発生以来、日本赤十字と中央共同募金会に義援金が集まりながら、いまだに一円も配られていないことに対する不満である。 これまでの集計で赤十字に980億円、募金会に174億円と計1154億円の募金が寄せられている。未曽有の広域災害だけに募金の集まりは早く、赤十字の場合は12日間で401億円に達した。15日間で164億円を集めた阪神大震災に比べて1日あたり3倍のペースだ。 だが被災地にカネは渡っていない。その背景にあるのが「義援金配分委員会」だ。これは各自治体の被災地代表や有識者が集まってどこにいくら配るかを話し合う組織。ところが青森から千葉までと被災地が広いため、委員会の設置にこぎつけていないのだ。片山善博総務相は3