湖や池の水面を埋めるアオコから、簡単に安くバイオ燃料を生み出す新技術の開発に、電力中央研究所エネルギー技術研究所(神奈川県横須賀市)が成功した。従来の方法より約70倍も生産性が高く、製造時の環境影響も少ないという。東大阪市で開かれる日本化学会で29日発表し、水の浄化と地球温暖化対策の一石二鳥になる「緑の原油」として数年後の実用化を目指す。 同研究所の神田英輝主任研究員は、スプレーの噴射ガスに使われる無害な溶剤ジメチルエーテルを20度で5気圧に加圧して液化し、アオコと混ぜ合わせる方法を考案。溶剤の性質からアオコに自然に染み込み、乾燥・粉砕して細胞組織を壊さなくても、油分を溶かし出せることを確認した。溶剤は減圧すれば蒸発するため分離・回収も簡単で、製造過程のエネルギー使用も激減するという。 京都市内の池のアオコを使った実験では、従来の方法ではアオコの乾燥重量の0・6%相当しか油分を抽出できなか