3月1日の参院予算委員会で、質問に立った日本共産党の小池晃書記局長に対し、安倍晋三首相は疲弊しきった様子でこう言った。 「私は、妻はですね。妻は、私は公人でありますが、妻は私人なんですよ、それで。いちいちですね、その妻の、妻をまるで犯罪者扱いにですね。そんなことをやるのは極めて私は不愉快ですけどね。極めて不愉快ですよ。本当に私は不愉快ですよ、そういう犯罪者扱いするのは……」 とぎれとぎれの言葉の中に、何度も「不愉快」と繰り返す安倍首相。しかし多くの国民にとって、これは極めて「不可解」な問題に違いない。 ■公人なのか私人なのか 総理夫人は公人なのか私人なのか。これは大きな問題だ。大阪府豊中市内の国有地売却問題をめぐり、学校法人森友学園の疑惑が政界にも広がりを見せているが、その原因のひとつが、森友学園が建設する「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に昭恵夫人が「安倍晋三内閣総理大臣夫人」とし
まさに青天の霹靂というほかない。3月10日、午後6時。安倍晋三首相は、南スーダンにPKO派遣されている自衛隊の部隊を、5月末をめどに撤収させる考えを明らかにした。 今国会では南スーダンの治安を巡り、与野党間で激論が交わされた。火をつけたのは、ひとつの文書だった。 政府はこれまで「自衛隊が活動する首都のジュバ市内は比較的安定している」と繰り返してきたが、現地の部隊が昨年7月に作成した「日報」が発見され、そこに<戦闘>という文言があったことが明らかになり、様相は一変。「戦闘地域に自衛隊を派遣することは、PKO法にも憲法にも反している」と指摘する声が続出したのだ。 安倍首相は撤退の理由について「南スーダンでの活動が今年1月に5年を迎え、部隊の派遣としては過去最長となり、一定の区切りをつけられると判断した」と語ったが、「日報」が発見されたことで議論が再燃し、それが撤退の判断に影響を与えたのは
「愛国教育」を実践する学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地取得や小学校の設置認可をめぐる疑惑は深まる一方だ。「特別な便宜」の背景には何があるのか。 「行政手続きの最初から最後まで不自然極まりない、解せないことだらけです」 森友学園が取得した大阪府豊中市の小学校用地をめぐる一連の不可解な国有地取引を浮上させる牽引役となった、同市の木村真市議はこう嘆く。 大阪都市圏の豊中市は全域が市街化区域だ。広大な更地の用途を気に留めていた木村市議は昨年5月、柵で囲まれた用地に「瑞穂の國記念小學院 児童募集/学校法人・森友学園」と書かれたパネルが掲示されているのを目にし、経緯を調べ始めた。歯切れの悪い回答しか得られない財務省近畿財務局の対応に業を煮やして情報公開請求したところ、提示されたのは黒塗りだらけの文書だった。 「なぜ隠す必要があるのか。怪しい」 国有地の売買価格を非開示とした近畿財務局の
森友学園疑獄にはもう一人“怪人物”が突如、現れた。「週刊文春」(3月9日号)の記事「安倍晋三記念小学校“口利き”したのは私です」(左上写真)に登場した経営コンサルタントの川田裕介氏だ。 故・鳩山邦夫衆院議員事務所の「参与」の名刺を持ち、籠池理事長からの相談を受けて近畿財務局で“口利き”したと告白したのだ。当の川田氏は、本誌の取材にこう答えた。 「文春さんに話したのは安倍政権を守りたいから。私が鳩山の名前を出せば、安倍首相に目がいかなくなると思ったからです」 川田氏は塚本幼稚園のPTA役員を務めるなど籠池泰典理事長と親交がある。“口利き”についてこう語った。 「近畿財務局とのやり取りは前半30分は国有地の状況説明、あと30分ほどで今後の見通しなどを話した。先方は売却と借地のどちらも考えていて、前向きにやっているという話でした。参与の名刺で行っていますから、名前だけで十分。5回も大臣を
2月13日に警視庁捜査1課長に就任した上野洋明氏(58)が、刑事部の武道始式で入社1年目の女性記者Aさん(23)に全治3週間の怪我を負わせていたことが週刊文春の取材で分かった。 1月26日の午後に行なわれた武道始式で「TOKYO MX」の新人女性記者のAさんと対戦した上野氏は、剣道の経験のない彼女の腕を目掛けて、チャンバラのように“横打ち”で執拗に連打したという。 「防具に覆われていない生身の腕が打たれ、バチン、バチンという音が道場に響いていました。彼女は身長が150センチ台で細身の体型。『大丈夫なのか』という雰囲気が漂い、道場はシーンと静まり返りました」(その場にいた警察関係者) Aさんの診断結果は全治3週間の打撲だった。Aさんは都内の女子大学に在学時はミスコンで優勝し、学生キャスターとしてニュース番組にも出演していた才媛だ。 一方の上野氏は、「北海道出身で高校時代は野球一筋。歴
いま在外中国人のあいだで、習近平政権を徹底的に批判した、あるマンガ作品が話題になっている。発売前から米国amazon Kindleストアの中国語電子書籍ランキングで1位を獲得、18日の発売後も1位をキープし続けているという。 その作品タイトルは、『變態辣椒――流亡中的漫畫家 Chinese Cartoonist in Exile』。直訳すれば「激辛の唐辛子――亡命中国人漫画家」だ。 じつはこの作品、日本の月刊誌「新潮45」で『中国亡命漫画家』というタイトルで連載され、その後、『マンガで読む 嘘つき中国共産党』というタイトルで単行本化されたもの。 著者の辣椒(本名:王立銘)さんは、中華人民共和国出身の43歳。デザインの仕事をする傍ら、ネットで政治風刺漫画を発表していたところ、中国の公安当局に狙われて、日本への“亡命”(※)を余儀なくされたという。(※法律上は亡命者ではなく長期滞在者。)
「乙武洋匡、40歳、無職」。最近の乙武洋匡氏が使っている肩書である。もしも、あの騒動がなければ、その肩書は今頃「参議院議員」になっていたかもしれない。 ’15年の末頃から、乙武氏が参院選に出馬するという報道が出始めた。当初、我々は参院選出馬はないと踏んでいた。というのも、’14年に新宿区長選に出馬するという噂が流れたときも「人生、何が起きるかわからないので将来的に政治家になるという選択肢を完全に否定はしませんが、現時点ではまったく考えていません」ときっぱりと否定していたからだ。さらに乙武氏は作家、スポーツライター、教師、東京都教育委員など数々の仕事を経験するなど、常に自分の興味のある仕事を多方面に複数抱えるタイプ。政治家のように縛り付けられる仕事は本人の志向するところではないだろう、とも考えていた。 だが、’15年末の取材で「参院選には出るんですか?」と聞いたとき、乙武氏はこれまでと同
自力では如何ともし難い厄介な問題、専門的な問題を解決したいとき、私たちが頼りにするのは弁護士ではないだろうか。ただ、一口に弁護士といっても、その能力やスキルはさまざまだ。20~50代男女が「ひどい」「依頼したくない」と困惑する、依頼人として絶対にかかわりたくないモンスター弁護士の事例を集めた。(取材・文/池田園子、編集協力/プレスラボ) ● 絶対に依頼したくない モンスター弁護士 弁護士志望者の就職難や、弁護士として就職しても稼げない、弁護士の間で収入格差が開いている……など、昨今、弁護士に関して明るくないニュースが目立つ。その影響もあるのか、法科大学院の人気もかつてより下がっているという。 「各法科大学院の入学定員及び実入学者数の推移」(中央教育審議会大学分科会 法科大学院特別委員会)によると、実入学者数の合計は、平成19年の5713人から、平成27年の2201人へと約8年で2分の
「まさか私が出所した翌日の未明に、国会でIR法案(カジノを含む統合型リゾート整備推進法案)が成立するとはね。よくできた冗談かと思いました」。そう話すのは、2011年11月、特別背任で逮捕された井川意高(もとたか)・大王製紙元会長(52)。カジノで106億円を失った男は、なぜか日本カジノに悲観的なのであった。 *** 井川氏は、カジノで作った借金を返済するため、関連会社から巨額の資金を不正に借り入れた。13年7月、懲役4年の刑が確定。3年2カ月服役し、16年12月14日に仮出所したのだ。以下は、井川氏の話である。 「塀の中にいる時は、差し入れなどで届けられる本や雑誌を仕分ける図書工場で作業していました。担当刑務官や受刑者仲間にも恵まれ感謝しておりますが、法案に反対、ギャンブル依存症の根絶を掲げる団体などからの面会の申請には困惑しました。私は元々、法案に反対する人々に批判的なので、彼らに
沖縄の人々がおそれていた垂直離着陸輸送機「オスプレイ」の事故が遂に起きた。 「墜落」(米軍準機関紙『星条旗』)した機体は大破して沖縄県名護市の海岸に無残な姿をさらけ出した。集落付近の海岸からの距離はわずか80メートル。大惨事となる恐れもあった。 開発段階から墜落事故を繰り返し、性能が安定しないオスプレイ。沖縄県の米海兵隊普天間基地に24機配備されている。墜落したのはその中の1機だ。 2017年1月からは千葉県木更津市の整備施設で定期整備が始まり、沖縄からオスプレイがやってくる。 17年度には東京の米空軍横田基地に別の10機が配備され、18年度からは陸上自衛隊による導入が始まり、自衛隊機としてのオスプレイは当面17機となる。 墜落の恐怖にさらされるのは、もはや沖縄だけではない。近い将来、米軍機と自衛隊機合わせて51機もオスプレイが日本全土を飛び回るのだ。国民の安全・安心のためには、
11月15日、日露経済協力のキーパーソンだったウリュカエフ経済発展相が収賄容疑で訴追された。 ウリュカエフ氏は国営石油大手、ロスネフチによる別の国営石油企業の株式取得に便宜を図った見返りに200万ドル(約2億1000万円)の賄賂を受け取ったとされるが、学者出身でリベラル派の同氏は本来、国営企業民営化を支持しており、不可解な点が多い。政権内の複雑な権力闘争に巻き込まれた模様だ。 問題は、日露首脳会談を12月15日に控えたこの時期に、プーチン大統領が逮捕、更迭を承認した点だ。ウリュカエフ氏は世耕弘成経済産業相のカウンターパートで、大統領訪日時に調印される20近い日露協力案件のロシア側責任者だった。 「更迭は訪日後でもよかった。プーチン大統領が訪日への意欲を失っている証拠」(日露関係筋)という声もある。RIAノーボスチ通信によれば、ロシア捜査当局は日露経済協力を支持するドボルコビッチ副首相
2006年2月1日、京都市伏見区の桂川の遊歩道で、区内の無職の長男(事件当時54歳)が、認知症の母親(86歳)の首を絞めて殺害、自身も死のうとしたが未遂に終わった「京都・伏見認知症母殺害心中未遂事件」をご存じだろうか。 一家は両親と息子の3人家族だった。1995年、父親が病死後、母親が認知症を発症。症状は徐々に進み、10年後には週の3~4日は夜間に寝付かなくなり、徘徊して警察に保護されるようにもなった。長男はどうにか続けていた仕事も休職して介護にあたり、収入が無くなったことから生活保護を申請したが、「休職」を理由に認められなかった。 母親の症状がさらに進み、止む無く退職。再度の生活保護の相談も失業保険を理由に受け入れられなかった。母親の介護サービスの利用料や生活費も切り詰めたが、カードローンを利用してもアパートの家賃などが払えなくなった。長男は母親との心中を考えるようになる。 そして
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