パキスタンが核保有を決意するに至った理由は、1971年の第2次印パ戦争における敗北から得た教訓にある。パキスタンにとり、インドはパキスタン制圧の決心を固めているかのように見えた。 他方、米国のパキスタン防衛のために軍事力を提供するという約束は当てにならないことが戦争を通じて明らかとなった。 従ってインドに通常戦力のみで対抗することはできず、核兵器が戦場で対抗し国家の存続を保障するための唯一の手段であると考えられた。 当時のブット首相は早くも1965年に、「もしインドが核兵器を製造するなら、草木を食べてでも、飢えても、我々の核兵器を持つ」との決心を述べている*1。 この戦争で東パキスタンを失ったことにより、カーン(A. Q. Khan) は愛国心をかき立てられ、1974年秋からスパイ活動に従事するようになったとされている。 1972年1月にブットはムルタン(Multan)に科学者と軍関係者の