いま目の前のテレビにとんでもないものが映っている。どうみても本物としか思えない夫婦喧嘩だ。 ただの夫婦喧嘩ではない。いわゆる修羅場なのだが、普通テレビで表現される夫婦喧嘩は特徴的な会話や身ぶり手ぶりのみをつまんで、軽く見られるように編集するものだ。だが、この夫婦喧嘩は違う。わざと長い間をとったり、同じ言葉をちょっとだけ違う使い方で何度も繰り返す男の言葉をテロップで強調したり、テーブルの横に座り込む女が死んだような目をしていたり……人生のそこここで発生する嫌な雰囲気や不快な時間を強調する作りだ。そして、このまま「次週に続く」 この夫婦、ただの夫婦ではない。男は48歳同じ女とバツ2、前妻との間に子供12人うち8人をひきとる。女は28歳おそらくバツ1以上子供5人。現在男の子供を妊娠中。 すなわち大家族ものなのだが、ただの大家族ものではない。 そして驚くべきは、この番組が地上波のゴールデンタイムで