精霊の青年は大きな帽子をかぶり、現地で服を調達し(しっかりとギャングとして稼いだ金で購入した)、王を待っていた。 この大きな帽子は鬼用の帽子で、横に二本ある角を隠すために設計されている。 もっとも青年の角は常人ではない程大きな角を持っているので、少し角がはみ出ている。 服は、ジャケット。普段から彼はジャケットを着ているが、そのジャケットはボロボロであった。 …青年は人を待っていた。 手紙に『ショコラ王とアンティノメル警察としてあの喫茶店で話がある』と嘘を書き込んでいた。 名義は「Dante Alighieri(ダンテ・アリギエーリ)」。偽名だ。 警察と嘘をつかないと、ショコラはやって来ないだろう。 そして待ち合わせから数時間遅れ、ショコラはやって来た。 変装している青年を見て、一言ショコラは呟いた。 「ダンテさん!」 「よう、ショコラ」 ダンテはいつもと違う口調でショコラに話しかける。 ダ