靴職人の相馬紳二郎さんが仕事場として使っているのは、武家屋敷で江戸時代から作られるようになった”長屋門”という建築スタイルの建物。建物の中央に人の行き来ができる空間があり、左右に部屋が設けられている。その後、裕福な農家でも使われるようになった。 武家の長屋門は漆喰壁だけれど、民家は板張りが基本。相馬宅の長屋門は板張りで、屋根は藁葺きだったが、20年ほど前に立派な瓦葺き屋根に葺き替えられたそうだ。相馬宅は、その長屋門を通った先に、家族で暮らす母屋がある。 ここに越してきたのは6年前。広い仕事場を確保するために、千葉の住宅街から、紀恵さんの実家の近くで住まいを探したのだそう。 「2007年の夏に、実家から通いながら、仕事部屋を作り、母屋の修繕を始めました。けれど考えていたよりも時間がかかってしまい、未完成のまま2008年の春に生活を始めました。住みながらだと、さらに大工仕事に時間がかかってしま