子どもの頃は美味しいと思わなかったけど、大人になると美味しくなった。 そんな経験がきっと誰にでもある。僕の場合は、ナスを美味しく感じるようになったのは10代の後半からだった。 そして、このマンガを面白く感じるようになったのは、成人した後のことだ。 「総務部総務課山口六平太」。とても地味なマンガだ。 「課長島耕作」や「サラリーマン金太郎」といったサラリーマン漫画に比べて知名度が低いため、読んだことのない人が多いと思う。 けれど、僕は声を大にして言いたい。この漫画こそ、もっともリアルなサラリーマン漫画であると。 課長島耕作はサラリーマンの基幹業務はセックスという間違った認識のもとに書かれているし、サラリーマン金太郎に至っては「サラリーマン」と「チンピラ」を間違えている感がある。 だが、山口六平太はリアルだ。この上なくリアル。劇的なドラマはなく、発生した問題をただ粛々と解消していく。 「怒って帰