教会の礼典の一つに聖餐式(主の晩餐)があります。イエス・キリストのからだを表すパンを食し、キリストが十字架で流される血を表す葡萄液を飲むわけですが、実は十九世紀の終わりまで世界中の大半の教会が一つの杯に入った葡萄液を回し飲みしました。 聖餐式の杯が記されている聖書の9か所すべてにおいて、「杯」が単数形であり、イエスの弟子たちは「みなその杯(単数形)から飲んだ」(マルコ14:23)のであり、パウロもコリント教会に対して「杯(単数形)を飲みなさい」(1コリ11:28)と命じています。聖書時代の聖餐式では、明らかに一つの杯を回し飲みしており、これに反論する学者は見当たりません。 また、キリスト教史においても1890年代に至るまで、同じ杯を回し飲みしていました。ある教会では聖書時代と同じく一つの杯を、ある教会では時間短縮のために聖餐式の中で一つの杯からいくつかの杯に分配して、またある教会では男性用