ゲド戦記の翻訳者で青山学院女子短大の清水真砂子名誉教授(69)の講演会が二十六日、宇都宮市本町の県総合文化センターで開かれた。清水さんは群馬県桐生市で小六女児が自殺した事件にふれ「『給食を一人で食べてかわいそう』と新聞は言うが、そうなのか。一人だからこそ豊かな時間を過ごせるという価値観があることを周りの大人が知らせていたら、あの子どもは苦しまずにすんだのに」と持論を述べた。 清水さんは「一人でいることは悪いという風潮が子どもたちを生きづらくさせている」と指摘。「もりのなか」「わたしとあそんで」など一人でいることの大切さを語る児童書を挙げ「人の成長の大部分は一人でいる時に起こる。読書は、人にはいろんなことが起こることや、多様な価値観を教えてくれる。自分だけ不幸だと心の内面で圧力を高めず、生きやすくしてくれる」と結んだ。 (松平徳裕)