大学3年生の夏だった。 1992年7月19日。ミリカホール。 この日僕は、『ギミア・ぶれいく』「史上最強のクイズ王決定戦」大阪予選に一人で乗り込んだ。 第1関門の筆記予選を突破し、舞台の上に呼ばれた時、隣にはカーディガンにネクタイ姿のおっさんが立っていた。 その時は知る由もなかったが、これが大西さんと僕の出会いだった。 8月9日。『第16回アメリカ横断ウルトラクイズ』第1次予選。 僕はこれが4度目の挑戦だ。 午前3時15分、いつものように郵便局の仮眠室で目を覚ました僕は、第1便の処理を済ませたところで早退し、始発電車で家に戻った。 ウルトラクイズの第1次予選の日といえば、今までは一年中で最も胸躍らせる日だったが、今日はあまり気が乗らない。 決してウルトラクイズに対する熱意が衰えた訳ではないが、そろそろ学校の勉強も本格的に始めなければならないし、今年は何かと忙しい。だから、ドームを突破するの