いまの日本では実体経済でお金が使われずに、金融経済でばかりお金が動いています。実体経済が萎縮していくと、企業は企業で、国内で商売しても、設備投資しても、人を雇ってもダメだという判断をします。日本経済の分岐点に幾度も立ち会った経済記者が著書『「経済成長」とは何か?日本人の給料が25年上がらない理由』(ワニブックスPLUS新書)で解説します。 なぜ金融経済でばかりお金が動くのか ■萎縮する日本の実体経済 ここまで何度も触れてきましたが、実体経済は我々の暮らす経済です。モノやサービスが動いて、企業は設備投資したり、人を雇ったり、主婦が消費に励む。それで、子供を学校のほかに塾に通わせたりして、教育を充実させようとする。若い人は将来の見通しが立ったら、結婚したり、子供をつくったり、家を建てたりする。こういうことはすべて実体経済のなかで行われます。だから実体経済は非常に重要です。 しかし、いまの日本で