第5回 分裂する「民主」と「ビジネス」 遅れてきた開発体制国家 今年9月に生じた尖閣諸島沖における漁船衝突事故とその後に続いた日中両国間の外交的な摩擦は、言うまでもなく、日中関係に経済面を含めた様々なレベルで深い亀裂をもたらすことになった。民主党政権の対応のまずさや中国国内における権力闘争の可能性など、個々の対応や背景についてはすでに膨大な指摘や分析が行われているし、今後も外交上・政策上の重要な問題として、様々なレベルで検討がなされていくだろう。しかし、ここでは領土問題をめぐる具体的な検討には立ち入らない。筆者の関心に近いところで、一連の摩擦を通じて最も印象的だったのは、日中のような互いに政治体制の異なる国同士でビジネスを行うことは、本質的な困難さを伴うものだ、ということが改めて明らかになったことだと思われる。 特に、事件のすぐ後に続いた電子機器やハイブリッド車の部品に不可欠なレアア