運命紀行 森の下草 「新古今和歌集」に小馬命婦(コマノミョウブ)の歌が一首のみ採録されている。 『 露の身の消えばわれこそ先立ため 後れんものか森の下草 』 歌意は、「露のような身であなたが亡くなられるのであれば、わたしが先立ちましょう。あなたに後れることなど決してございません、たとえ森の下草のようなこの身であっても」といった、実に激しく切ないものである。 この歌は、「返し」となっていて、その前には、小馬命婦に贈った歌が載せられている。 「わずらひける人のかく申し侍りける」 『 長らへんとしも思はぬ露の身の さすがに消えんことをこそ思へ 』 歌意は、「生き長らえるとは思っていない露のような身だが、やはり、露のように消えていくことを悲しく思う」と、うったえているものである。 この二首は、「小馬命婦集」に載せられていたものをそのまま「新古今和歌集」が採録したものなので、他にもこのような例は多い
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