真理を探究する科学研究の公正な発展のために 大阪大学大学院生命機能研究科長 近藤寿人 科学研究は、自然界についての真理(真実と原理)を明らかにする行為であり、科学者はその行為を社会から委託されています。 真理を探究する方法を設計するために、しばしば、さまざまな作業仮説(モデル)が用いられますが、研究はその作業仮説の肯定のために行われるのではなく、作業仮説と事実としての実験結果を対峙して、真理により接近するために行うものです。研究の過程で事実が曲げられれば、真理を明らかにすることはできません。 現代の科学では、複数の研究者が共同して作業を行うことが多いのですが、ある結論が導かれ、それが論文として発表(投稿)される際には、論文の内容と掲載されるデータが、研究に参加した科学者によって精査される必要があります。これは儀式ではなく、結論の根拠と結論についての誤謬を避けるのに不可欠なプロセスです。 大