「キャー!」白昼に響く女性の叫び声。鏡の前で、一人、立ち尽くす女。 お気に入りのデニムが、洗濯して、色あせちゃった上にラインがくずれてしまったのだ。 「あああああ、シリアルナンバーも付いた、限定デニムだったのに、 デザインだけじゃなく色合いも絶妙だったのに、よく似合うと皆が褒めてくれたのに、職場にもデートにも使えて着まわせたのにぃ!」 お気に入りのデニムへの思いが、走馬灯のように駆け巡る。 女の瞳には、涙がうっすらと浮いてきて、窓の向こうがぼやけた、その時に、 向かいのマンションのベランダから、高らかな笑い声が聞こえた。 「私、お洗濯の仕上がりには、ちょっと自信がございます。洗濯ヨシ子でございます!」 「洗濯ヨシ子?!」 デオドラントグリーンのアクロンを自慢気に持つ、洗濯ヨシ子。 胸元は、大きな立体ドレープがヨレなくきりっと立ち上がり、デニムの色もバッチリきいている・・・ 女は思った