厚生労働省によると、全国の児童相談所が対応した虐待相談件数は統計を取り始めた平成2年以降、18年連続で増加。20年度は4万2664件と、1日に約120件もの相談が寄せられている計算になる。 12年には虐待児童の早期救済を目指した児童虐待防止法ができた。同法は定義が曖昧(あいまい)だった「虐待」を(1)身体的な暴行(2)わいせつな行為(3)養育放棄(4)心理的に傷つける言動−と規定。これまで潜在化していた虐待を表面化させる要因となった。 一方、厚労省の専門委員会が19〜20年に発生した子供の死亡事例73件(心中を除く)を分析した結果、児童相談所がかかわりながら、死亡にまで至った例が15件。関係機関が支援の必要はないと判断した例が22件あり、行政対応の不十分さが浮かび上がった。 江戸川区で起きた今回の事件を受けて厚労省と文部科学省は、虐待の恐れがあると学校や児童相談所に通報があった児童について