ロシアがウクライナ産穀物を黒海経由で輸出する手続きを定めた「穀物合意」からの一時離脱を表明したことは世界の食料事情を悪化させる恐れが強い。一方、合意離脱はロシアにとっても、合意維持を求めてきた途上国などからの支持の低下といったリスクをはらんでいる。ロシアは合意復帰をちらつかせて自身の要求を認めさせる構えだが、国際社会がロシアの揺さぶりに屈する保証はなく、ロシアの「瀬戸際戦術」が成就するかは不透明だ。 【写真】ウクライナ産穀物を積み検査のためトルコ・イスタンブール沖に停泊する貨物船など 小麦の国際指標である米シカゴ商品取引所の小麦先物価格は、ウクライナ侵略開始後の2022年3月、1ブッシェル(約27キロ)=10ドルを突破。ただ、同年7月の穀物合意の成立などで同年秋以降は下落傾向が続き、最近は1ブッシェル=6ドル台で推移していた。タス通信によると、ロシアの合意離脱を受け、シカゴ取引所の小麦先物