ウクライナ戦争は核大国ロシアが隣国ウクライナに大軍を侵攻させたことであるのは間違いない。当代のウクライナ戦争解説の最高の権威小泉悠氏は『世界』10月号に「ウクライナ戦争をめぐる〈が〉について」なる一文を書き、ウクライナ戦争がロシアの侵略であったが、考えられなければならない「複雑さ」があると主張する「異論派」のすべてを斥けて、この「が」をとり、ロシアの侵略に対抗するためには「日米同盟の堅持と日本の防衛力増強」という日本の国策を支持すべきだと宣伝している。『世界』の誌面からこのように呼びかけられて私は茫然とせざるをえなかった。 ロシアの行為は侵略だ、兵器をくりだして、ロシアを追い出せ、国連総会決議をふりかざして、ロシアを追い出せといっても、それはかなわなかった。戦争は1年半もつづき、現在のウクライナの総反攻も行き詰まりの様相を呈している。停戦が必要である。ロシアとウクライナは停戦会談をただちに