豊かさを求めて世界中が追い求めてきた資本主義。経済の成長を支えるため、多くの資源を求めて地球を開発してきた結果、人類はこれまで経験したことのない気候変動の危機に直面することになった。さまざまな危機への解決策はあるのか。書籍「人新世の『資本論』」の中で、著者の斎藤幸平氏はそのヒントは「脱成長コミュニズム」と訴える。New Normal時代を迎え、豊かな未来へ進む道筋を訊いた。 地球上から失われたフロンティア 突入した「人新世」の時代とは ── 著作では、「人新世」の時代とありますが、どのような時代なのでしょうか? まだ馴染みのない人も大勢いると思いますが、地質学の概念です。近年では、自然科学だけではなく、人文科学や社会科学の分野でも注目されている概念なのですが、言わんとすることは単純で、人類の経済活動の痕跡が地球の表面を覆いつくした時代ということです。例えば、道路や建築物、農地、ゴミ捨て場に