デンマークの看板制作会社、ノンビュの役員ラース・ノンビュ氏は、世界的な不況に対抗するための独自の対策を考え出した。職場から、その言葉を完全追放したのである。 新聞は景気の悪い記事が人目に触れないよう切り抜かれ、会議の冒頭では危機を話題にすることが禁止され、顧客には「危機反対」を訴えるステッカーが配られる。「もうたくさんだと言わなければならない」とノンビュ氏。 戦略という意味では、ノンビュ氏の戦略の効果は、政治家や中央銀行が編み出すどんな戦略にも引けを取らないと言えるだろう。 対策を打てども見えてこない効果 2月初旬、バラク・オバマ大統領が率いる米国新政権は、8000億ドル規模の景気対策法案を巡って思わぬ難局に陥った。中国では、政府が膨大な数の出稼ぎ労働者が職を失うことを示唆し、大規模な社会不安が起きる恐れが出てきた。そして、欧州の政治家は米国の政治家と同様、経済を安定化させるうえで