タグ

ブックマーク / ponanza.hatenadiary.jp (13)

  • 将棋倶楽部24に参戦してみた - 山本一成とPonanzaの大冒険

    2年ぶりに将棋倶楽部24にPonanzaを参戦させてみた。 Ponanza側の条件は以下のもので、特に問題がなければ来年の電王戦でそのまま使うものを使用する予定である。 秒読み18秒(入力時間のマージンの為) PCは来年の電王戦で叡王と戦うPCと同じもの 人間対策用に指し手のランダム性を増やしている(そのため若干弱くなっている) 今日は9時から夜中の1時近くまで指して7局できた。対局してくださった方ありがとうございます。幾つか気になった棋譜があるのでせっかくなので紹介していく。 ・satoko1985さん(R3111)戦 いわゆる28角問題をやられて、見事にPonanzaが角を打ってしまった局面である。ただこの状態1筋を先手が突き越せてないので▲16香と逃げれない。実戦では▲18香と逃げた後、馬をとったのだが際どい勝負だった模様である。 ・Super megutan(R3220)戦 ここか

    将棋倶楽部24に参戦してみた - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 電王戦最終局 屋敷九段とPonanzaの自戦記(後半) - 山本一成とPonanzaの大冒険

    前回の記事の最後にFail Lowという言葉がでました。コンピュータ将棋はある局面を探索するときに、評価値をある程度予想して、その予想を元に探索をします。予想値の下限をアルファ、予想値の上限をベータといいます。よく聞くアルファベータ探索のアルファとベータはここから来てます。評価値がアルファより下の場合Fail Low、評価値がベータより上の場合はFail Highといいます(第1図)。Fail Lowが起こる時は予想より実際の評価値が大きく下回る場合で、かなり良くない状況です。Fail Lowがおこった場合は、アルファとベータの予想値を再修正して探索し直します。 第1図 難解な局面では予想が難しいので、Fail Low(↓)やFail High(↑)することがよく起こる。評価値に矢印をつけるのはPonanza独自の拡張. Fail Lowは業績下方修正、Fail highは業績上方修正のよ

    電王戦最終局 屋敷九段とPonanzaの自戦記(後半) - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 電王戦最終局 屋敷九段とPonanzaの自戦記(前半) - 山本一成とPonanzaの大冒険

    屋敷九段とPonanzaの電王戦最終局が2014/4/12にあった。場所は将棋の総山、将棋連盟。屋敷九段はどのようなコンピュータ対策をしてきたのだろうか?Ponanzaはどういう序盤展開に持ち込まれるのだろうか?色々な不安が錯綜したが、もはや作者としてはできることはない。Ponanzaを信じよう。 局面は屋敷九段の▲2六歩から始まった。ここからは推測だが、△3四歩なら▲2五歩としてから、Ponanzaにうまいこと振り飛車にさせる。また△8四歩には譜のように少し変則的ながら、横歩取りにするという変化を想定したと思う(第1図)。 第1図 やや変則的な出だし、屋敷九段はPonanzaの横歩取りに弱点ありと見たのだろうか? ちなみにTwitter上で将棋の非常に強い有名な方も以下のように言ってたり、第三回電王戦で唯一人間側で勝った豊島七段が勝った戦型も横歩取りなので、コンピュータ対策として横歩

    電王戦最終局 屋敷九段とPonanzaの自戦記(前半) - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 電王戦第五局が始まるまでに決めておかないといけないこと - 山本一成とPonanzaの大冒険

    今週土曜日(2014/4/12)に第3回電王戦第5局が始まる。プログラマは事前にプログラムを提出しており、もうできることは何もないのだが。まだ決めてなければならないことがひとつある、いつ投了するかということだ。 電王戦で、コンピュータ側が負けたのは合計で二局。どちらもプログラマが局面や評価値を見て投了した。Ponanzaの場合はどうしようか?電王戦で提出したPonanzaそのものには投了機能はついてない、Ponanzaが投了する条件はただひとつ、指し手がひとつも無くなった時だけだ。 投了図というのは色々な意味を持っている。どこで投げるかは敗者だけが持っている特権なのだ。そこには多くの物語が流れる。 真部一男九段の絶局での投了図 絶局とは棋士の最後の対局のこと 負けるときはPonanzaには合法手がなくなるまで指させようと思う。対局者の屋敷九段には悪いのだが、そこは敗者の特権なので付き合って

    電王戦第五局が始まるまでに決めておかないといけないこと - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • マルチコアは皆さんが思っているようなマルチコアか? - 山本一成とPonanzaの大冒険

    コンピュータ将棋を理解する上で、大事なことの一つにマルチコアというのがあります。皆さんのお手元のPCや最近ではスマホも当たり前のようにマルチコアになってきています。ところで皆さんがマルチコアと言っているものはどんなものなんでしょうか? CPUというのは、コンピュータにとって頭脳と言えるものです。下の画像はCPUの一種類インテルCorei7です。皆さんはこういうものが幾つか繋がってマルチコアとなっていると想像してませんか? CPU Corei7 画像のものは4コアCPU こちらより画像を引用 実はこの中にすべてのコアが含まれているます。中の画像を説明付きの画像を見てみましょう。中にCore(コア)と書かれた部分が4つ見られると思います。4コアと言われていても、別々に分かれているわけでもなく同じ基板上にプリントされているわけですね。 内部アーキテクチャ 共有メモリ(L3キャッシュ)が意外と大き

    マルチコアは皆さんが思っているようなマルチコアか? - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 電王戦第4局 ツツカナと森下九段の観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険

    4/5(土)小田原城で先手ツツカナと後手森下九段の対局が行われた。二人の紹介についてはこの記事を参考にしてみてください。この記事では早速将棋の内容を見ていこう。ちなみに局はリアルタイムで番組を見れてないので、記事の内容の精度がかなり自信がないです。その点ご了承ください。 ツツカナ、森下九段共に矢倉を趣向して、悩ましい序盤の変化が幾つかあったが、いかにも森下九段が好きそうな手厚い陣形となった(第1図)。プロ棋士の方に聞いたのだが、第1図はありそうで、それほど実戦例が多くないそうだ。 第1図 善悪はともかく後手の森下九段は自身の将棋人生を表すかのような手厚い矢倉に 4筋、5筋を中心に長い長い中盤が始まります。こういった押し引きが矢倉の醍醐味と言えます。しかし遠山先生のブログでの以下の記述でもあるように、長い長い中盤をコンピュータとねじり合う将棋を勝つのはものすごく大変というイメージがあります

    電王戦第4局 ツツカナと森下九段の観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • Null Moveと将棋の不思議な関係(その2) - 山本一成とPonanzaの大冒険

    前回は将棋におけるNull Move Pruningのお話をしました。今回はNull Move、つまりはパスをするということが将棋においてどんな性質がある手なのか考えてみましょう。 「将棋のほとんどの手は悪手である」羽生さんが言っていたとされてます。将棋は初期局面で30通りの指し手があるのですが、そのなかで定跡とされているのは▲7六歩、▲2六歩、▲5六歩くらいでしょうか?それ以外の手もなくは無いのですが、▲8六歩とか▲9八香とか明らかに指さないほうがいい手もいっぱいあります。パスをする手って何番目くらいの指し手でしょうか(図1)。 第1図 初期局面でパスをする、すなわち後手になるというのはどれくらい悪い手なのだろうか? 将棋でパスする手の良さは、局面にもよりますが、私の感覚では上位5位くらいには入ってくるイメージです。加えてパスはもっとも良い手となる可能性はあまりないです。*1 パスする手

    Null Moveと将棋の不思議な関係(その2) - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • Null Moveと将棋の不思議な関係 - 山本一成とPonanzaの大冒険

    今日は将棋プログラムの探索について少し書いてます。将棋プログラムは探索と評価という両輪が補完しあって動いています。探索というのは人間でいう読みと同じような操作です。また評価は人間でいう形勢判断に近いものです。少しくらい評価にダメな部分があっても、探索によって補うことが可能ですし、逆もまた然りです。 探索の一つのテクニックにNull Move Pruningというのがあります。Nullの意味は「からっぽ」で、Moveは「指し手」、Pruningは「枝刈り」です。日語に無理やり訳すと「からっぽの指し手の枝刈り」くらいでしょうか。からっぽの指し手の意味することはパスをするという意味です。パスをすることと枝刈りはどんな関係があるんでしょうか? 具体的な局面を持ちだして考えてみましょう。第1図は有名な局面です。評価値としては、どれくらいが適正か難しいですが、Ponanzaは先手が+50点くらいと言

    Null Moveと将棋の不思議な関係 - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • コンピュータ将棋のよくある誤解(その2) - 山本一成とPonanzaの大冒険

    このブログは電王戦をより楽しんで頂くための一助となればと思い書き始めました。なにか意見などありましたら、twitterで声をかけてください。今日もよくある誤解について解説していきたいと思います。 ■ よくある誤解 将棋の名人を倒したら、次は完全解析? 「将棋の名人を倒したら、次は将棋の完全解析ですか?」とよく聞かれます。確かに将棋には答えがあるので完全解析は理論上は可能でです。現実問題として、完全解析はまったく目処が立ってないです。今回はどれくらい難しいか少し考えてみましょう。 仮に将棋が100手以内に先手が必ず勝てるゲームだとしましょう。そうすると完全解析するために必要な局面数は局面あたりの合法手数を80とすると、以下の数になります。 80を50回かけた数= 14272476927059598810582859694494951363827466240000000000000000000

    コンピュータ将棋のよくある誤解(その2) - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 電王戦第3局 豊島七段とYSSの観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険

    3月29日、大阪あべのハルカスで第3回電王戦第3局、豊島七段と将棋プログラムYSSの対戦が行われた。人類側の2連敗で迎えて局、ここで勝たなければ人類の負け越しが決まってしまう。対局に先立って豊島七段のプレッシャーはいかばかりであっただろうか。早速観戦記を書く前に、少しだけ対局する(?)二人の話をしよう。 豊島七段は序盤中盤終盤と隙のない棋風で知られている。私は何度か豊島七段とお話する機会があったのだが、彼の印象はニコニコ動画のPVなどで受ける印象そのものである。純粋さ、実直さ、そして将棋に対する圧倒的な熱意。未来の名人を予感させるには十分なものであった。プロ棋士間の棋力をイロレーティングで表した結果によると、非公式ながらプロ棋界でも片手に入る実力があるとも言われている。 YSSのプログラマ山下さんについてもお話しよう。山下さんは昔から積極的に情報を発信しており、山下さんが作ったこのサイト

    電王戦第3局 豊島七段とYSSの観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 電王戦第2局 佐藤紳哉六段とやねうら王の観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険

    菅井五段と習甦の対戦から一週間息つく暇もなく、2014年3月22日両国国技館で、電王戦第2局佐藤紳哉六段とやねうら王の対戦が始まった。様々なゴタゴタがあったこの第二局なのだが、それはまた今度にしよう。今回は将棋技術的な背景を解説していく。 先手やねうら王の初手▲1六歩で始まった局だが、迎えてやねうら王が▲7七角としたところだ(図1)。ここで佐藤六段が方針の岐路を迎えている。プロ同士の一局なら△同角成の一手といっても過言ではない。そうでなければ先手に居飛車にされ、一局ながら端の位をとったことを大きく生かされてしまうだろう。しかし佐藤六段は知っていたのだろう、このまま△4二玉とすれば、やねうら王は居飛車にせずに、ノーマル四間飛車にして自分が居飛車穴熊にできることを。 第1図 やねうら王が▲7七角とあがった所 そして作戦は成功して、やねうら王はノーマル四間飛車に佐藤六段は居飛車穴熊に囲うこと

    電王戦第2局 佐藤紳哉六段とやねうら王の観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • コンピュータ将棋のよくある誤解(その1) - 山本一成とPonanzaの大冒険

    このコーナーはコンピュータ将棋によくある誤解を解消していくコーナーです。常日頃コンピュータ将棋はもろもろの誤解を受けているのでその点を少しでも解消できれば、とこのコーナーを作りました。 ■ よくある誤解 コンピュータは定跡を覚えているから強い? もっともよくある誤解の一つです。有名ブロガーちきりんさんも自身のブログの中でこんなふうに言ってます。 ちきりんは、これも将棋ソフトが強くなった大きな要因なのかなと思っていました。人間は定跡を覚えたり暗記したりするのが大変だけど、機械ならすぐに覚えられ、忘れず、実際の局面で「あっ、これはあの定跡だ!」と思いつくことの漏れもありません。 だから人間より有利そうじゃん? と思ったんです。 コンピュータが定跡を丸暗記できても、将棋が強くならない理由は3つあります。 コンピュータは過去にあった数万局の対局を覚えることができます。でもその程度の量はコンピュータ

    コンピュータ将棋のよくある誤解(その1) - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 電王戦第1局 菅井五段と習甦の観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険

    2014年3月15日、電王戦第3局 ▲菅井竜也5段-△習甦の一戦が有明コロシアムで行われました。結果は前評判を裏切り習甦の勝利となりました。その試合についてコンピュータ開発者の視点から、観戦記を書いてみます。 図1 25手目 菅井五段が3八銀と美濃囲いを作った所 図1は現在プロ同士の戦いではまず見られなくなった形です。理由は後手の居飛車の進展性が無いとされているからです。ここから後手は仮に穴熊に組めたとしても、5筋を制圧されていることが大きくうまくいきません。一方先手は指したい手がいっぱいあります。この辺りがコンピュータ将棋が序盤が上手くないと言われる理由ですね。 図2 34手目 習甦が3二金としまった所、ゴキゲン中飛車側の岐路 進んで図2は先手が主導権を握っている局面です。ここで問題がないなら▲6八飛と回りたいところです。一見△7三桂でなにも意味がないようにみえますが、後手はこの桂馬を跳

    電王戦第1局 菅井五段と習甦の観戦記 - 山本一成とPonanzaの大冒険
  • 1