『銃・病原菌・鉄』で一世を風靡したジャレド・ダイアモンドの最新刊がこの『危機と人類』である。主に七カ国を対象として、それぞれの国が陥ってきた危機と、それをどのようにして乗り越えてきたのか。また、今現在まさに危機にある国を取り上げ、比較しながら「国家的危機」についての枠組みについて考察しよう、という一冊だ。本書刊行時の著者はすでに80を超えているが、なおパワーのある筆致でぐいぐい読ませ続けるので、心底たまげてしまった。 「危機」にもいくつもの種類があるが、本書で取り上げられるのは、国家を揺るがすほど大きな危機、また現代の国家で起こったことについて限定されている。対象とされる七カ国は次のとおり。フィンランド、日本、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、アメリカ。日本だったら、たとえば明治維新の頃何が起こったのか、どのように日本人は適応してきたのか──が危機の枠組みを通して語られるわけだ。
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