総務省接待の追及がなんとも情けない 総務省幹部への接待問題の質問が相次いだ参院予算委員会。相変わらず、野党の追及や一部マスコミの報道は、菅義偉首相への「口撃」が目立つ。むろん、今回の問題には看過できない面があり、解明が必要だ。だが、「口撃」に終始する姿勢は、問題の核心を突くのではなく、悪印象を与えたい下心満載で、なんとも情けない。
内閣府が発表した2020年第2四半期(4~6月)の実質の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は前期比7・8%減、年率換算では27・8%減となった。4月から6月の間は、緊急事態宣言の発令期間を含むため、当初から大きく経済が落ち込むことが予想されていたが、ほぼその見込み通りとなった。 ワイドショーや報道番組などマスコミは、この減少幅からリーマン・ショックを超える「戦後最大の落ち込み」と報じている。「補正予算の効果が入ってこれだけの落ち込み、大変だ!」と騒いだり、一部の野党のように「アベノミクスの失敗だ」という見方を示す人たちもいるが、おそらくこの種の人たちは、今回の「新型コロナウイルスの経済危機」をきちんと理解していない。
―本書『冲方丁のこち留』は、冲方さんが身に覚えのない妻へのDV(ドメスティック・バイオレンス)容疑で逮捕され、渋谷警察署内の留置場に9日間も閉じ込められた挙げ句、無罪放免になるまでの顛末が“喜劇調”で綴られています。妻がほんとうに被害届を出していたのか、最後まではっきりせず、まさに理不尽の極み。これが日本の司法の現実かと思うと、寒けを覚えました。 冲方:警察が逮捕状で私が妻にDVをしたという「作文」を行なうと、検察や裁判所はそれに従って有罪の判決を導くというストーリーが出来上がっている。たとえ前後の事実関係に矛盾があっても、一度逮捕されてしまうとなかったことにされてしまう。警察の取り調べとは、当事者から事実関係を聞き出して捜査の参考にするのではありません。あらかじめ用意された筋書きに当てはまる自白を被疑者にさせ、それを調書に記録する作業のことをいうのです。いわゆる自白主義。ほんとうに怖いと
週明け発表された2019年10~12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比1・6%減、仮にこのペースが1年続いた場合の年率換算は6・3%減と、市場の予測を大きく上回る下振れとなった。2月13日に発表された民間エコノミストの経済見通し「ESPフォーキャスト調査」では年率4・05%減だったが、この調査結果も大きく下回った。 ツイッターのトレンドワードには「内需総崩れ」という言葉が上位にあったが、まさにその通りである。もっとも、日本のGDP速報値と改定値は大きくずれる場合もあるので、その点は念頭に置かなければならない。いずれにせよ、速報値を見る限り、「内需総崩れ」という言葉は最もふさわしく、各項目でも悪い数字が並んでいる。
消費増税と世界経済のかく乱の影響で、日本経済は景気の下降局面から、次第にデフレを伴う長期停滞に戻ろうとしていた。ファーストオーダー(匿名MMT=現代貨幣理論支持者)との小競り合いを制したジェダイの騎士(リフレ派)であったが、旧帝国軍(財務省、旧日本銀行派)の大集結の前にいまや危機的状況に陥ったのである…。 真冬にもかかわらず小春めいた日差しの中、繁華街の一角にあるオープンカフェは歳末の客で賑(にぎ)わっていた。隣の席では、既に滅びた「国民的アイドルグループ」の一員に似た女性が、向かいに座った眼鏡をかけた小太りの中年男に向かって「愛してる」「知ってる」と延々ループする会話を繰り返していた。暗黒卿は顔を寄せてささやいた。
周囲を赤い土塀で囲み、軒先には金文字で「伏魔之殿」と書かれた看板が掲げられてあった。正面の扉には護符が何枚も張られ、銅で固めた錠前が付いており、中の社殿には3メートル四方の巨大な一枚岩が鎮座し、その下は底なしの深い穴になっていたという。唐の昔、道士、洞玄国師がこの穴に魔王を封じ込め、そこに建立したのが「伏魔殿」だった、という有名な逸話である。 魔王が封印された場所ということから、伏魔殿は「悪魔がひそむ殿堂」の意、転じて「陰謀・悪事などが絶えず企まれている所」などとされ、過去には田中真紀子元外務大臣や石原慎太郎元東京都知事がこの言葉を引いて、政治発言したことでも知られる。昨今では、PTAを「伏魔殿」になぞらえて報道するメディアもある。 ちなみに水滸伝は、都から来た官僚がこの祠を強引にこじ開け、魔王が世に解き放たれるシーンから始まる。後に悪徳官吏の打倒を目指し、梁山泊に集った108人の豪傑もこ
衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)の新春セールが史上最速で取扱高100億円を突破したとして前澤友作社長が私財から100人に100万円ずつ総額1億円を配る「お年玉」企画をツイッター上で行い、話題をさらった。 企業拡大の一方で低賃金労働者を利用し、貧困や生活困窮を生み出しておきながら、このような「お年玉企画」で人々に夢を見させて、夢を語らせ、成金経営者の承認欲求や満足のために利用する姿は見るに堪えない下品さがある。 私は昨年、コミュニケーションデザイン室長、田端信太郎氏とAbemaTVやツイッターなどで議論を続けてきた。さらに前澤社長ともツイッターでやり取りを行い、彼らの欺瞞(ぎまん)性を指摘し続けてきた。なぜなら、同社は社員が働きやすい企業、従業員が楽しく働ける企業であるという「ウソ」を喧伝(けんでん)してきているためだ。
日韓両国の対立が新たな局面を見せている。目下の問題は、12月20日、能登半島沖の日本海で発生した韓国海軍駆逐艦による海上自衛隊所属哨戒機に対するレーダー照射問題だ。 この文章を書いている12月27日夜の段階で、この問題の焦点は韓国海軍駆逐艦が自衛隊哨戒機に照射したのが、対空ミサイルの誘導と主砲の射撃管制を行う火器管制レーダー「STIR−180」だったのか、それとも空中、さらには水上のターゲットにも使用できる捕捉追尾用の三次元レーダー「MW-08」にすぎなかったのかになっている。 この問題を巡り、日韓両国が出している情報は明らかに相互に矛盾したものだ。その成否を判断するために必要な1次情報に触れ得る立場にない筆者にとって、現段階で日韓両国のどちらの主張が正しいのかを判断することは不可能であり、踏み込んで議論することは自重したい。しかしここで注目したいのは、この問題が日韓両国間に横たわる「海」
私は『新潮45』8月号の「杉田水脈論文」への批判を受け、10月号で小論「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」を執筆した。だが、雑誌掲載内容が世に普及する暇(いとま)さえなく、したがって雑誌の内容が社会的糾弾に値するかどうかの世論の醸成が全くないまま、発売初日から、ツイッターの組織戦で小論の完全な誤読による悪罵(あくば)を大量に流布された。そして発行からたった3日で「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」を佐藤隆信社長が詫び、発行1週間で事実上の廃刊となる。全く異常な話ではないか。
9月6日深夜3時8分、北海道を襲った最大震度7の地震は、道内全域をブラックアウト(停電)に陥れた。私たちは広域停電の恐怖をまざまざと見せつけられたのである。295万戸が停電し、発生から丸1日たっても約131万戸分しか電源は回復しなかった。完全復旧には1週間以上かかる見通しだ。 道内全域の長時間にわたるブラックアウトの原因は意外なものだった。それは、震源地に近い北海道電力苫東(とまとう)厚真火力発電所(厚真町、165万キロワット)が大きなダメージを受け、一時停止せざるを得なくなったからである。この火力だけで道内の電力の約半分を担っていた。苫東厚真の脱落の結果、電力網全体で需給バランスが一気に不安定化した。そして道内の他の火力発電所が次々に停止し、道内全域停電という事態に陥った。
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