もちろん、何が「豊か」なのかということに決まった基準があるわけじゃないし、人によっても考え方は違うだろう。傑作だけに絞って鑑賞するような生活が「豊か」だと思うのが悪いわけじゃない。ただ、実際問題として、傑作とそうでない作品とをどうやって見分けるんだろう? それが気になる。 ――「一本足の蛸」 純粋にランダムに作品を選んでいるひとなんてまずいないだろうから、みんな、何らかの方法で見分けているんじゃないかな。 もちろん、事前に予想しきることはむずかしいだろうし、予想しきれないからこそ実物を見る価値があるわけですが。 さて、昨日はああいう記事を書いたわけですが、本音を言えば、たぶんそういう「つまみ食い方式」は主流にならないだろうと思っています。 ひとつのジャンルを深く極めるにせよ、広く未知の名作を求めるにせよ、ある種の探究心が必要とされるわけで、これほど豊かな世界ではその種の精神は育ちにくいだろ