ニッポンの書評 (光文社新書) 作者:豊崎 由美 光文社 Amazon 豊崎社長とけんごさんの一件を見て以来、書評とは何かが気になってきた。書籍にどう言及すれば書評になるのか。せっかくだから、ここはトヨザキ社長の見解をうかがってみることにする。『ニッポンの書評』の第一講において、豊崎さんは作家と批評家、編集者と書評家の関係性について、このように解説している。 わたしはよく小説を大八車にたとえます。小説を乗せた大八車の両輪を担うのが作家と批評家で、前で車を引っ張るのが編集者(出版社)。そして、書評家はそれを後ろから押す役割を担っていると思っているのです。 これはかなり明快な整理だ。作品の構造を分析し、それが今書かれる意義を明らかにする批評家と異なり、「これは素晴らしいと思える作品を一人でも多くの読者にわかりやすく紹介すること」が書評家の役目だと豊崎さんは語る。書評家は読者と作品の間をつなぐ存