英語圏における翻訳者の役割は低い。なんとベビーシッター並みの賃金しか得られないのだという。ベビーシッターといえば、ティーンエージャーの女の子が近所の赤ん坊のお守をして小遣いを稼いでいるというイメージしか無い。あるいは、怪我でもさせてしまい白人に烈火のごとく怒られているヒスパニックの移民とか。そのため、アメリカやイギリスで翻訳者になろうとすれば、本業で稼ぎながら副業的にやるか、学者になるしかない。 それと比較すれば、日本は翻訳者に優しい国だといえる。「Is That a Fish in Your Ear?」では日本の翻訳業界について次のように述べられている。 柴田元幸は疑うまでもなく日本国内で最も有名な英語翻訳者である。出版社からは「柴田元幸翻訳コレクション」が出版され、本屋ではそれを置くための本棚が用意されている有り様だ。単に彼の名前が本の表紙に載っているだけではなく、著者名と同じ大きさの